2014年11月3日月曜日

Blogサイト移転のお知らせ

ご訪問いただいた方には申し訳ありません。
3ヶ月ほどここでBlogを公開いたしましたが、以前の
http://takeichimasato.wordpress.com
に移転いたしました(戻りました)。

2014年11月1日土曜日

日本学術会議のあり方の見直しについて

 このところ、日本学術会議のことについて意見を述べることが多くなっています。
 すでに書いてきたことですが、この9月末で11年間務めた会員の任期を終えました。しかし、今後の日本学術会議のあり方には深く関心を持っています。一般の方々にはその背景の説明が必要かもしれません。制度的には、2004年(平成16年)の日本学術会議法の改正によって新たな「新生学術会議」として翌年に第20期が始まり、この9月に3年を期とする9年が経ったところですが、この法改正に伴って「10年後に日本学術会議のあり方を見直す」とされていることが学術界にとっての大きな課題だということです。科学者84万人を代表して社会に学術の責任を果たす組織として、日本学術会議のあり方があらためて見直されるわけです。

2014年10月13日月曜日

日本学術会議の今後について

 一月前に「日本学術会議の運営について」の記事を書きました。そこでは、今年の10月から始まる第23期の運営体制のあり方について、とくに、会長選挙等の 「透明性」の確保が必要だと述べました。実際、10月1日には、会長選挙によって、前期からの大西隆氏が再任されました。一般の方々にも学術会議を理解していただけるように、第23期会員の方々には、「10年目の見直し」に向けて、以下のような課題も認識して活動を進めていただきたいと思います。

2014年9月14日日曜日

日本学術会議の運営のあり方について

 日本学術会議の会員として11年務めてきましたが、今月末で任期を終えることになります。日本学術会議は1949年に設置され、これまでにいくどかの制度的な変更がありました。最近では、2005年にそれまでとは違った方式で会員を選出するなどの改革が行われ、10年後の2015年にそれが評価されることになっています。
 一会員として、現在の日本学術会議の運営のことを関係の方々にお伝えしたいと思います。会員としての活動については別の機会に報告したいと考えています。

2014年7月16日水曜日

論文査読の陥穽

研究論文はピアレビューによってその質が保証されるというのが一般的です。しかし、驚くべきことが起きていました。

SAGE社の出版する雑誌で60本の論文撤回 1人の著者が複数の別名を使って自分の投稿論文を自分で査読

内容がどうのこうのとことではなく、査読をごまかしたというわけです。最近は、投稿論文の査読をオンラインで行うことが多いことから、起きたことだということでしょうか。SAGE社は more than 700 journals and over 800 books を刊行しているとのことです。論文誌ごとに査読者候補のリストを作っているでしょうから、そこに、たくさん偽名で登録をしておいて、自らの論文を「査読」したということでしょう。

2014年7月15日火曜日

学術界における「抵抗的意見」とは?

ある学術的な組織のある委員会の委員長が審議の経過を報告した公開文書に、
・・・にあたり、それがやや革新的であったためか、多くの抵抗的意見が○○○○○○の中で出された。しかし、本委員会委員の方々の真摯な議論と積極的な支持により、すべてを乗り越えることができた。

との表現を見て、これが科学者コミュニティで議論した総括だというのは、あまりにも残念な気持ちになりました。なにか、最初から決まっていることを結論づけるために、形式的に議論したというだけのことだったのでしょうか。

2014年4月19日土曜日

学術界はこれまでの研究不正や業績誇称で何を学んだのか?

2010年のアニリール・セルカンに関わる研究不正のことでわれわれは何を学んだのでしょうか?最近のSTAP細胞論文のことで思い出します。

4年前に記事「知を窃(ぬす)んで地に落とす」を書きました。この「セルカン事件」では、東京大学に対する申立に対して、大学による調査委員会によって当人の学位論文に大量の剽窃等のあることが確認されて、東京大学創立以来、初めての学位取消が行われました。また、当該研究科において学位審査に関わった教員の処分とともに、再発防止策がとられたということです。しかし、この事件はこうした狭義の「研究不正」ということだけではありませんでした。

2014年3月16日日曜日

自律的な学術公正性の確保に向けて(追記)

最近のSTAP細胞の論文についての調査委員会の中間報告や、その論文の筆頭著者の学位論文のことについてのさまざまな情報を知るにつけ、ますます学術界の現状に、そこに身を置く一人として、大きな責任を感じます。

先日、ある会合で以下のような意見を述べました。とくに今回の件を意識したものではなく、最近、見聞きしていたことからの発言です。
資料には、「次代を担う人材育成をしているのか」、また、「優秀な若手研究者が育ちにくいのではないか」ということが課題とされていますが、若手だけではなく、次の世代を育てるような研究者が育っているのか、ということが問題ではないでしょうか。つまり、研究はしているのかもしれませんが、次の世代を育てるような形で研究しているのかどうか。私は疑問に思います。特に最近の若い方が、「論文」は書けても、議論の場とか、文書をまとめるときに論理的な素養について「えっ」と思うようなことをたびたび経験しています。研究を通じて研究者を育てるという体制がとれているのかどうかということを強く意識すべきだと思います。研究体制そのものに対する欠陥というのがかなり現れてきているのかも知れません。こうした認識を持てるものかどうかも考える必要があるのではないかと思います。

研究に携わる者が一人の独立した研究者として自律的に責任ある行動をとることが前提となって、社会から学術界における研究の自由が認められているといえるでしょう。

2014年3月3日月曜日

ピアレビューの陥穽

驚きました。いまもなお、といってはなんですが、こういうことは繰り返されるのでしょうか。

国立国会図書館のカレントアウェアネス・ポータルに
「SpringerとIEEE、機械生成されたでたらめな論文120本以上をプラットフォームから削除」という記事が出ています。
2014年2月24日付けのNature誌の記事で、SpringerとIEEEの商用プラットフォームに収録されている会議録論文の中に、機械生成されたでたらめな論文120本以上が含まれていたことが報じられています。現在はこれらの論文は削除されているとのことです。

もとのNature News 2014/02/24 は

Publishers withdraw more than 120 gibberish papers

にあります。

2014年2月14日金曜日

学術界における組織的ハラスメントへの怒りについて

最近の報道に見られる学術界の問題には、読者の方々はそれぞれに思いをもっておられることでしょう。頻繁に報じられる「研究不正」についても、研究成果としての論文の捏造、捏造(Fabrication)、改ざん(Falsification)、盗用 (Plagiarism)という、いわゆる FFP 問題からを超えて、利益相反といったことにも及んでいます。これまでに、「学術公正性」と「研究公正性」、また、学術界での利益相反についても意見を述べました。しかし、学術界においては、さらなる大きな問題が存在していることにも目を向けなくてはいけないと思います。この記事のタイトルを見て、身近に思い当たることがある方もいらっしゃるでしょう。報道されたこともあれば、そうでないものもあり得ます。

2014年1月1日水曜日

日本学術会議の研究不正の防止策と事後措置に関する提言について

日本学術会議の提言「研究活動における不正の防止策と事後措置 -科学の健全性向上のために-」が2013年12月26日に出されました。文部科学省の取組については以前に触れましたが、今回の学術会議の提言は、研究者側から文科省の施策に応えようとするものなのでしょう。

提言の要旨には、これまでの日本学術会議における十数年の関連した審議や提言等の経緯を述べたあとで、今回の具体的な提言が書かれています。しかし、「・・・を行う」と述べられていますが、その主体がよく分からないし、最後に「・・・が必要である」と結語があるのは、他人ごとのように聞こえます。