2014年3月16日日曜日

自律的な学術公正性の確保に向けて(追記)

最近のSTAP細胞の論文についての調査委員会の中間報告や、その論文の筆頭著者の学位論文のことについてのさまざまな情報を知るにつけ、ますます学術界の現状に、そこに身を置く一人として、大きな責任を感じます。

先日、ある会合で以下のような意見を述べました。とくに今回の件を意識したものではなく、最近、見聞きしていたことからの発言です。
資料には、「次代を担う人材育成をしているのか」、また、「優秀な若手研究者が育ちにくいのではないか」ということが課題とされていますが、若手だけではなく、次の世代を育てるような研究者が育っているのか、ということが問題ではないでしょうか。つまり、研究はしているのかもしれませんが、次の世代を育てるような形で研究しているのかどうか。私は疑問に思います。特に最近の若い方が、「論文」は書けても、議論の場とか、文書をまとめるときに論理的な素養について「えっ」と思うようなことをたびたび経験しています。研究を通じて研究者を育てるという体制がとれているのかどうかということを強く意識すべきだと思います。研究体制そのものに対する欠陥というのがかなり現れてきているのかも知れません。こうした認識を持てるものかどうかも考える必要があるのではないかと思います。

研究に携わる者が一人の独立した研究者として自律的に責任ある行動をとることが前提となって、社会から学術界における研究の自由が認められているといえるでしょう。

2014年3月3日月曜日

ピアレビューの陥穽

驚きました。いまもなお、といってはなんですが、こういうことは繰り返されるのでしょうか。

国立国会図書館のカレントアウェアネス・ポータルに
「SpringerとIEEE、機械生成されたでたらめな論文120本以上をプラットフォームから削除」という記事が出ています。
2014年2月24日付けのNature誌の記事で、SpringerとIEEEの商用プラットフォームに収録されている会議録論文の中に、機械生成されたでたらめな論文120本以上が含まれていたことが報じられています。現在はこれらの論文は削除されているとのことです。

もとのNature News 2014/02/24 は

Publishers withdraw more than 120 gibberish papers

にあります。