研究論文はピアレビューによってその質が保証されるというのが一般的です。しかし、驚くべきことが起きていました。
SAGE社の出版する雑誌で60本の論文撤回 1人の著者が複数の別名を使って自分の投稿論文を自分で査読
内容がどうのこうのとことではなく、査読をごまかしたというわけです。最近は、投稿論文の査読をオンラインで行うことが多いことから、起きたことだということでしょうか。SAGE社は more than 700 journals and over 800 books を刊行しているとのことです。論文誌ごとに査読者候補のリストを作っているでしょうから、そこに、たくさん偽名で登録をしておいて、自らの論文を「査読」したということでしょう。
2014年7月16日水曜日
2014年7月15日火曜日
学術界における「抵抗的意見」とは?
ある学術的な組織のある委員会の委員長が審議の経過を報告した公開文書に、
との表現を見て、これが科学者コミュニティで議論した総括だというのは、あまりにも残念な気持ちになりました。なにか、最初から決まっていることを結論づけるために、形式的に議論したというだけのことだったのでしょうか。
・・・にあたり、それがやや革新的であったためか、多くの抵抗的意見が○○○○○○の中で出された。しかし、本委員会委員の方々の真摯な議論と積極的な支持により、すべてを乗り越えることができた。
との表現を見て、これが科学者コミュニティで議論した総括だというのは、あまりにも残念な気持ちになりました。なにか、最初から決まっていることを結論づけるために、形式的に議論したというだけのことだったのでしょうか。
2014年4月19日土曜日
学術界はこれまでの研究不正や業績誇称で何を学んだのか?
2010年のアニリール・セルカンに関わる研究不正のことでわれわれは何を学んだのでしょうか?最近のSTAP細胞論文のことで思い出します。
4年前に記事「知を窃(ぬす)んで地に落とす」を書きました。この「セルカン事件」では、東京大学に対する申立に対して、大学による調査委員会によって当人の学位論文に大量の剽窃等のあることが確認されて、東京大学創立以来、初めての学位取消が行われました。また、当該研究科において学位審査に関わった教員の処分とともに、再発防止策がとられたということです。しかし、この事件はこうした狭義の「研究不正」ということだけではありませんでした。
4年前に記事「知を窃(ぬす)んで地に落とす」を書きました。この「セルカン事件」では、東京大学に対する申立に対して、大学による調査委員会によって当人の学位論文に大量の剽窃等のあることが確認されて、東京大学創立以来、初めての学位取消が行われました。また、当該研究科において学位審査に関わった教員の処分とともに、再発防止策がとられたということです。しかし、この事件はこうした狭義の「研究不正」ということだけではありませんでした。
2014年3月16日日曜日
自律的な学術公正性の確保に向けて(追記)
最近のSTAP細胞の論文についての調査委員会の中間報告や、その論文の筆頭著者の学位論文のことについてのさまざまな情報を知るにつけ、ますます学術界の現状に、そこに身を置く一人として、大きな責任を感じます。
先日、ある会合で以下のような意見を述べました。とくに今回の件を意識したものではなく、最近、見聞きしていたことからの発言です。
研究に携わる者が一人の独立した研究者として自律的に責任ある行動をとることが前提となって、社会から学術界における研究の自由が認められているといえるでしょう。
先日、ある会合で以下のような意見を述べました。とくに今回の件を意識したものではなく、最近、見聞きしていたことからの発言です。
資料には、「次代を担う人材育成をしているのか」、また、「優秀な若手研究者が育ちにくいのではないか」ということが課題とされていますが、若手だけではなく、次の世代を育てるような研究者が育っているのか、ということが問題ではないでしょうか。つまり、研究はしているのかもしれませんが、次の世代を育てるような形で研究しているのかどうか。私は疑問に思います。特に最近の若い方が、「論文」は書けても、議論の場とか、文書をまとめるときに論理的な素養について「えっ」と思うようなことをたびたび経験しています。研究を通じて研究者を育てるという体制がとれているのかどうかということを強く意識すべきだと思います。研究体制そのものに対する欠陥というのがかなり現れてきているのかも知れません。こうした認識を持てるものかどうかも考える必要があるのではないかと思います。
研究に携わる者が一人の独立した研究者として自律的に責任ある行動をとることが前提となって、社会から学術界における研究の自由が認められているといえるでしょう。
2014年3月3日月曜日
ピアレビューの陥穽
驚きました。いまもなお、といってはなんですが、こういうことは繰り返されるのでしょうか。
国立国会図書館のカレントアウェアネス・ポータルに
「SpringerとIEEE、機械生成されたでたらめな論文120本以上をプラットフォームから削除」という記事が出ています。
もとのNature News 2014/02/24 は
Publishers withdraw more than 120 gibberish papers
にあります。
国立国会図書館のカレントアウェアネス・ポータルに
「SpringerとIEEE、機械生成されたでたらめな論文120本以上をプラットフォームから削除」という記事が出ています。
2014年2月24日付けのNature誌の記事で、SpringerとIEEEの商用プラットフォームに収録されている会議録論文の中に、機械生成されたでたらめな論文120本以上が含まれていたことが報じられています。現在はこれらの論文は削除されているとのことです。
もとのNature News 2014/02/24 は
Publishers withdraw more than 120 gibberish papers
にあります。
2014年2月14日金曜日
学術界における組織的ハラスメントへの怒りについて
最近の報道に見られる学術界の問題には、読者の方々はそれぞれに思いをもっておられることでしょう。頻繁に報じられる「研究不正」についても、研究成果としての論文の捏造、捏造(Fabrication)、改ざん(Falsification)、盗用 (Plagiarism)という、いわゆる FFP 問題からを超えて、利益相反といったことにも及んでいます。これまでに、「学術公正性」と「研究公正性」、また、学術界での利益相反についても意見を述べました。しかし、学術界においては、さらなる大きな問題が存在していることにも目を向けなくてはいけないと思います。この記事のタイトルを見て、身近に思い当たることがある方もいらっしゃるでしょう。報道されたこともあれば、そうでないものもあり得ます。
2014年1月1日水曜日
日本学術会議の研究不正の防止策と事後措置に関する提言について
日本学術会議の提言「研究活動における不正の防止策と事後措置 -科学の健全性向上のために-」が2013年12月26日に出されました。文部科学省の取組については以前に触れましたが、今回の学術会議の提言は、研究者側から文科省の施策に応えようとするものなのでしょう。
提言の要旨には、これまでの日本学術会議における十数年の関連した審議や提言等の経緯を述べたあとで、今回の具体的な提言が書かれています。しかし、「・・・を行う」と述べられていますが、その主体がよく分からないし、最後に「・・・が必要である」と結語があるのは、他人ごとのように聞こえます。
提言の要旨には、これまでの日本学術会議における十数年の関連した審議や提言等の経緯を述べたあとで、今回の具体的な提言が書かれています。しかし、「・・・を行う」と述べられていますが、その主体がよく分からないし、最後に「・・・が必要である」と結語があるのは、他人ごとのように聞こえます。
2013年10月30日水曜日
研究公正局と博士学位取消し
最近、参議院で議員から「研究公正局」の設置に関する質問主意書が提出されたことと、早稲田大学で博士の学位の取消しがあったことを知りました。
このたびの質問主意書は、9月26日付け文科省の「研究における不正行為・研究費の不正使用に関するタスクフォース」の中間とりまとめに関するもので、10月25日に答弁があったとのことです。文科省のとりまとめについては「文科省の『研究不正に向けた取組』について(追記)」で意見を述べました。
学位の取消しについては、10月21日に公表されていますが、「不正の方法により学位の授与を受けた」という理由です。早稲田大学では初めてということですが、東大での学位授与の取消しについて、3年9ヶ月前に「知を窃(ぬす)んで地に落とす」を書いて以来、気になっていたことです。
このたびの質問主意書は、9月26日付け文科省の「研究における不正行為・研究費の不正使用に関するタスクフォース」の中間とりまとめに関するもので、10月25日に答弁があったとのことです。文科省のとりまとめについては「文科省の『研究不正に向けた取組』について(追記)」で意見を述べました。
学位の取消しについては、10月21日に公表されていますが、「不正の方法により学位の授与を受けた」という理由です。早稲田大学では初めてということですが、東大での学位授与の取消しについて、3年9ヶ月前に「知を窃(ぬす)んで地に落とす」を書いて以来、気になっていたことです。
2013年10月15日火曜日
研究者の兼業・兼職について
大学等に所属する研究者は、ときに、外部の組織から依頼を受けて、審議会や委員会の委員に就くことがあります。また、大学の非常勤講師といった形で教育に携わる兼職をすることもあるでしょう。日本学術会議の会員は非常勤の国家公務員として発令されますが、あくまでも個人としての立場で任命されるものです。一般に、研究者が外部の組織の委員として委嘱されるときにはそれぞれの専門的な見解を述べることが期待されていて、自らが所属する組織とは独立の立場であるといえるでしょう。
研究者情報の公表と活用について
大学や研究機関に在籍する研究者は自らの研究成果を論文などで公表していますが、その情報はどのように公開されているでしょうか。論文誌に掲載される論文は、その分野の研究者は論文誌を見て知ることができるでしょうが、それでも、論文誌は数多く存在しますので、網羅的に見ることは難しいでしょう。また、少しでも分野が違う研究者にとっては、研究成果はなかなか分からないものです。一般に、研究者が公的な立場で研究を行っていることを考えれば、研究者自らがその研究成果などを社会に向けて公表すべきではないでしょうか。研究者情報の公表は、学術界における自律的な学術公正性の確保にとっても有用だといえるでしょう。今回は、研究者に関わる情報を自ら公表するとともにそれを活用することを考えてはどうかという提案です。
2013年10月8日火曜日
学術界での利益相反について
学術界における「利益相反」は、研究不正の文脈の中では表面に出てこないようですが、研究者の不適切な行為として「学術公正性」の観点から捉えるべき課題だといえるでしょう。以前にも参照した「日本の科学を考える」サイトでの議論の中で感じたことです。職務上の「利益相反」というのは、「職務として中立の立場で業務を行うべき者が自己や第三者の利益を図り、職務の中立性を損なうこと」だといえます。
2013年10月5日土曜日
「審議のアーキテクチャ」について
計算機科学の分野では「アーキテクチャ」というと、直ちに Computer Architecture を思い浮かべます。もちろん、「アーキテクチャ」はそれ以前から建築学で使われている用語です。しかし、このことばはさらにより広い分野、たとえば社会思想の分野でも使われていることを知りました。日本学術会議の審議について、会員のある方との立ち話でこのことばを教わりました。その概念を正確に表すことができないのですが、「組織の構成員が自発的に議論に参画できるようにすることにより、一部の構成員からなる委員会審議よりも本質的な審議をすることができるのではないか」いうことで、審議の構造に関することをこの「アーキテクチャ」ということばで表現してみたのです。もとより、ここでは「アーキテクチャ」の用語を議論しようというのではありません。以下は、新たな「審議のアーキテクチャ」の提案です。
2013年9月29日日曜日
自律的な学術公正性の確保に向けて
以前に記事「Academic Integrity と Research Integrity」を書きました。"Academic Integrity" は「学術における誠実さ」ということですが、これを「学術公正性」と呼ぶのはどうでしょうか。"Research Integrity" を「研究公正性」と呼ぶことに対応するものです。繰り返すことになるかも知れませんが、学術公正性について考えてみました。学術界で学術公正性を保証するためには、どのような仕組みが考えられるでしょうか。
2013年9月28日土曜日
文科省の「研究不正に向けた取組」について(追記)
文科省の研究不正の取組については、一月ほど前に「文科省の『研究不正に向けた取組』について」として意見を述べましたが、9月26日に文科省から「研究における不正行為・研究費の不正使用に関するタスクフォース」の中間とりまとめが公表されました。そこには、「国による監視と支援」として「『研究公正局(仮称)』のような第三者監視組織の設置などは今後に向けた大きな課題である」と書かれています。以前の記事にも書きましたが、(研究不正だけではなく)学術界の不正に対処する自律的な活動を促し、不正に関して審理裁定を行う機関が必要だと考えていますが、「監視」ということには違和感があります。
2013年9月8日日曜日
Academic Integrity とResearch Integrity
これまでに、「学術『公正局』」ということでいくつかの記事を掲載しました。最近の話題が「研究不正」への対応に向いていることから、また、生命科学分野の議論が活発で、米国のORI(The Office of Research Integrity)が参照されて、「公正局」という表現が使われていたことから、その名称を借りました。しかし、わが国で実効的な組織を考えるときに、米国ORIの機能でよいのかどうか検討が必要だという指摘もあります。このなかで、研究不正だけではなく、経歴詐称や業績誇称など学術上の不正を対象とする組織を「学術『公正局』」と表しました。
2013年8月24日土曜日
研究費に思うこと
「研究不正」にはさまざまな要因がからみあっていますが、研究費との関係もその一つでしょう。研究費の「不正使用」ということが、今でも報道されます。科学者が社会からの信頼をなくする大きな問題だといえるでしょう。論文の捏造や論文数の水増しなどは研究成果に関する不正ですが、研究実施に係る経費はどうなっているのでしょうか。
2010年5月6日木曜日
教育プログラムの競争的資金
大学人が会うと、よく「現在のわが国の大学が疲弊している」という切実な話になります。とくに、教育にあてる経費が厳しくなっている実感があるということでしょう。
文科省では、数年前から「大学教育改革支援事業」として、10を超える支援プログラムを立ち上げ、公募して選考し、実施してきています。よく知られた「21世紀COEプログラム」やその後に実施されている「グローバルCOEプログラム」も教育に関わりがありますが、これらは教育研究の「拠点形成」を目的にしています。平成21年度(2009年度)の状況は
http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/kaikaku/index.htm
にありますが、「平成20年度以前のプログラム」というのが多いのが目につきます。
文科省では、数年前から「大学教育改革支援事業」として、10を超える支援プログラムを立ち上げ、公募して選考し、実施してきています。よく知られた「21世紀COEプログラム」やその後に実施されている「グローバルCOEプログラム」も教育に関わりがありますが、これらは教育研究の「拠点形成」を目的にしています。平成21年度(2009年度)の状況は
http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/kaikaku/index.htm
にありますが、「平成20年度以前のプログラム」というのが多いのが目につきます。
2010年3月17日水曜日
大学教員の流動性
この時期、大学では恒例の退職教授惜別会が開かれます。今年は、われわれの研究科でお二人の先生が定年で退職されます。
大雑把に言って、研究科には30名の教授と70名の准教授・講師・助教がいます。研究科ができてから満9年、この間、これまでに8名の先生方が定年退職していますので、今年で10名ということになります。これも大雑把ですが、平均して毎年1名の教授が退職するといってよいでしょう。30名の教授で全100名の教員からなる組織で、この数はどうなのでしょうか。
大雑把に言って、研究科には30名の教授と70名の准教授・講師・助教がいます。研究科ができてから満9年、この間、これまでに8名の先生方が定年退職していますので、今年で10名ということになります。これも大雑把ですが、平均して毎年1名の教授が退職するといってよいでしょう。30名の教授で全100名の教員からなる組織で、この数はどうなのでしょうか。
2010年3月13日土曜日
大学における「人材育成」
昨今、「人材育成」がよく話題になります。それだけ、難しいことだということでしょう。
大学でも、あるいは学界でも「人材育成」が議論されることは多いのですが、産業界や企業におけるものとは少し違うように思えます。大学や学問の世界で、「人材を育成する」ことはどういうことなのかと考えます。大学では、よく、「人材育成」という文脈で「教育」が議論されます。「大学教員は研究に力を注ぐあまり、教育がおろそかになっているのが問題だ」というのは、人材育成という課題にとって問題だといっているのでしょう。
大学でも、あるいは学界でも「人材育成」が議論されることは多いのですが、産業界や企業におけるものとは少し違うように思えます。大学や学問の世界で、「人材を育成する」ことはどういうことなのかと考えます。大学では、よく、「人材育成」という文脈で「教育」が議論されます。「大学教員は研究に力を注ぐあまり、教育がおろそかになっているのが問題だ」というのは、人材育成という課題にとって問題だといっているのでしょう。
2010年3月10日水曜日
「情報学」の研究者数
2010月3月6日には、日本学術会議主催の「情報学シンポジウム」
http://www.scj.go.jp/ja/event/pdf/86-s-3-4.pdf
があったことに触れました。
そのときにも感じたのですが、「情報学」とはどの範囲の学問でしょうか。かなり幅広いことは多くの方々が認識しているでしょう。
http://www.scj.go.jp/ja/event/pdf/86-s-3-4.pdf
があったことに触れました。
そのときにも感じたのですが、「情報学」とはどの範囲の学問でしょうか。かなり幅広いことは多くの方々が認識しているでしょう。
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